WISC誤用問題について③ 有益な活用のためのPOINT

発達障害よもやま雑記帳

こんにちは

WISC誤用問題の続きです。(その①その②はこちら)

今回はWISC誤用問題に関する記事のまとめとして、検査結果を有益に活用するために必要な見方のポイントについてお話させて頂きたいと思います。基本的には、WISCについて専門知識をお持ちでない一般の方(当事者さん、保護者さん、教員さんなど)に向けた記事となります。これらのPOINTはWISCだけでなく、成人用のWAISについても同様のことが言えますので、参考にしていただければ幸いです。

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項目ごとの意味を理解する(教えてもらう)

WISC(成人用のWAISも)はIQ(知能指数)という強烈な数字がある分、他の数字にあまり注意が向きにくいかもしれません。けれども実は、その他の数字のほうがWISCの活用という意味では重要なのです。過去の記事でも書きましたが、IQという数字自体は支援や生活という文脈で言うと活用がしにくい数字です。

IQ以外の数字のことを合成得点といます。WISCを受けられたらぜひこの項目1つ1つの意味を検査者から教えてもらってください。(WISCの場合4つあります。)それぞれどんな力を測定している項目で、数値が高かったり低かったりする場合にどんな影響があるのかについてです。検査のレポートにはいろいろと文言が書いてあるかと思いますが、それらは検査の数値を根拠として書いてあるわけですので、検査項目自体の意味がわかるとより深く正確に理解することが可能かと思います。

逆に言うと、検査者に項目の意味を質問してもきっちりとした回答や解説が得られない場合、その検査者の専門性かスタンスのどちらかに問題があると言ってよいかと思います。WISCなどの知能検査は被検査者の利益のために行われるものであり、結果についてしっかり説明しない(出来ない)ことはその根本目的に反するからです。また参考までにWISCにはテクニカルサポートという名称のガイドラインのようなものが作成されており、そこでも全IQと4つの合成得点までは開示して、内容について説明することが推奨されています。

【参考】WISCⅣテクニカルレポート:保護者など非専門家にWISC-IVの結果をどこまで報告できるか

他者との比較より個人内差を重視する

検査項目の意味が理解出来たら、次にご自身(もしくはご家族、生徒さん)の得意なところと、苦手なところ、つまりその人の内側にある特徴に目を向けていただければと思います。特殊な事情がない限り、他の人との比較には使わないで頂きたいのです。なぜなら、WISCの数値で他者との比較をしたとしても、そこから得られるものは非常に少なく、弊害のほうが大きくなる可能性が高いからです。

またWISCなどの、知能検査は平均に近いほど検査数値の精度が高く、平均から外れれば外れるほど誤差が大きくなる傾向があることも知っておいて頂きたいと思います。

WISCが得意なのは個人内差の把握です。つまり得意と苦手の凸凹を把握することについてはかなり有益な情報が得られるはずです。また、その傾向は比較的安定していると考えられていますので、長く活用することが出来ます。

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得意の活用を考えるのが基本

得意と苦手の凸凹を知ったときに、人はどうしても苦手なことや出来ないことに意識を向けてしまいがちになるかと思います。けれどもやはり検査結果の活用の基本は得意を活かす方法を考えることにあります。

苦手について考えるのは得意の活用の後で十分だと思いますし、あまり真正面から「苦手を克服する!」というようにはならないほうがよいかと思います。WISC結果で出るような特徴は脳や神経レベルの特性から来ているものが多いので、鍛えてなんとかするという発想はうまくいくことが少なく、本来不要な焦りやストレスを生んでしまう可能性が高いと思います。

以上、WISCの結果活用のためのポイントを3点に分けてお伝えしました。WISC誤用問題が減って、有益に活用される事例が増えていくことに少しでもお役に立てればいいなあと思いながら書きました。最後までお読み頂きありがとうございました!

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