ティール組織とニューロダイバーシティ~嘉村賢州さんとの対談より~

発達障害よもやま雑記帳

先日、「発達障害当事者の自分研究」というイベントにて、今話題のティール組織論の日本第一人者、嘉村賢州さんと対談をさせて頂きました。このイベントでの対談と対談後に嘉村さんとお話をさせて頂いた内容からとてもインスパイアされたことがありましたので、書かせて頂きます。

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自分研究イベントでの対談

発達障害当事者の自分研究といううイベントは、発達障害の診断を受けておられる当事者の方をゲストにお迎えし、ご自身について考察する自分研究を語って頂くという公開対談型のイベントです。

【動画配信中】発達障害当事者の自分研究vol.2  『嘉村賢州』の自分研究 | 発達障害サポーターズスクール
本イベントは発達障害当事者の方をゲストに迎えて、自分自身の特性や特性への対処に関する「自分研究」について発達障害支援専門家と語り合う公開対談イベントです。 第2回ゲストは、新しい組織論・経営論として注目されベストセラーとなった『ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 』の解説者としてその名を広く知ら...

私が聞き手兼協働研究者、嘉村さんが自分研究者という役割分担で、台本や事前相談一切なしでお話しさせて頂きました。嘉村さんは成人後にADHDの診断を受けておられていますので、対談では嘉村さんの幼少期のエピソードから順に診断に至るまで、診断後から現在という流れでお話をお聞きしました。

そうやって時系列でお話し頂くなかで、嘉村さんが現在ティール組織という新しい組織の在り方に情熱を持っておられる背景に、ご自身の特性や特性に由来するご苦労が相当大きく影響していることが浮き彫りになってきました。

つまり嘉村さんが今まで感じておられた生きにくさへの、一つの社会的な解としてティール組織とその普及を考えておられるという側面があるといことなのです。

(対談内容自体のご紹介は本稿の趣旨と異なりますので、内容に興味のある方はイベントを撮影したものをワンコインにて公開予しております。興味のある方はそちらをご覧くださいませ。)

そして、対談後にも色々と嘉村さんとお話しさせて頂く機会があったのですが、そこで本稿のテーマである、ティール組織とニューロダイバーシティ(神経多様性)に関するお話に話が及びました。

結論、これらは非常に親和性が高くかつ相互補完的なのではないかという話で盛り上がりました。それは私にとって、今までなぜ気づかなかったのだろうと思うくらいに、結び付けてしまえば当然のことのように感じられました。このあたりについてご説明させて頂きます。

ティール組織とは

ティール組織とは何かという説明を簡潔に正しく説明することは私の手に余ることですので、嘉村さんが解説しているサイトのリンクを貼らせて頂きます。わかりやすく解説されているので是非ご一読ください。

ティール組織って何? 誤解されがちなポイントは?──第一人者 嘉村賢州さんに聞いてみた | サイボウズ式
果たしてサイボウズはティール組織なのか? サイボウズの組織の特徴は? ティールの第一人者である嘉村賢州さんをゲストに迎え、サイボウズ式社内勉強会を実施しました。1回目の本記事は、ティール組織の概要につ…

対談での嘉村さんのお話の中で「ティール組織ってそこで働く一人一人の心理的な安全性や安心感をとにかく大切にする」という言葉があり、私にはそれがとても印象に残っています。

そこにいる一人一人を大切にするための、組織のあり方の進化、それを論じたのがティール組織論だということなのだそうです。

個人尊重論としてのニューロダイバーシティ

さて、ここでようやくニューロダイバーシティ(神経多様性)との繋がりが見えてきます。

ニューロダイバーシティって何?という方の為に簡単にご説明します。この言葉、元々は米国における自閉症当事者の方達による社会運動に端を発する言葉で、自閉症をはじめとする非定型的発達を脳や神経の働きの多様性として捉えようとする考え方です。

私個人としては、基本的にこの考え方に賛同する立場をとる臨床心理士として活動しています。

そして同時にこの考え方や方法論は、究極のダイバーシティ視点だというふうに考えています。なぜなら、脳や神経のあり方という意味ではすべての人類がその対象範囲であり、人の考え方や生き方にとても大きな影響を与えている要因だからです。

ここまで読まれた賢明な読者の皆様なら、私が何を言いたいかがもうお分りかもしれません。ティール組織とニューロダイバーシティ、これらに共通するのは徹底した個人尊重の思想です。

組織論の立場から個人尊重を問うたのがティール組織論だとすると、脳・神経科学、発達障害論に基づく個人特性理解の視点から個人尊重を問うたのがニューロダイバーシティ論であると私には思えるのです。


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グリーン組織の落とし穴への解?

こんな話で盛り上がった時に嘉村さんから「ニューロダイバーシティの考え方はティールでいうところのグリーン組織の落とし穴への解決策の一つになり得るのかもしれませんね」というご発言がありました。

グリーン組織というのは、ティール組織論のなかの組織のあり方の一つで、そこに集う個人の多様性や主体性を尊重し対話を重視する特徴があります。とても良い組織体なのですが弱点もあって、多様性を尊重するあまり意思決定に時間がかかり過ぎたり、厳しい意見や突飛な意見を言いにくくなることが起こってしまう傾向があるそうです。

そういった問題の根本的な背景として「そもそも多様性を尊重するとは何をどうすることなのか」や「人の様々な違いをどうやって把握するのか」いう部分の具体的方法論の乏しさがある、と嘉村さんは指摘されていました。 

そしてこれこそが、発達障害の理解や支援の領域で日々取り組まれている実践知や専門的知見やノウハウがその力を発揮できる領域だと私には感じられました。

ティール組織もニューロダイバーシティもどちらもこれからの時代が求める考え方で、かつお互いに補い合うような部分があるのかもしれないなあと、思っています。

嘉村さんとは今後も定期的に情報交換を行っていくお話になっていますので、ティール×ニューロダイバーシティでまた何かできるかもしれません。その時はまたお知らせさせていただきますね。

最後までお読みいただきありがとうござました!

この記事で、ティール組織に興味を持たれた方は是非下記の原著を読まれることをお勧めします。めちゃ大作ですが読み応えがある密度の高い本です。

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