【良書紹介】自閉症スペクトラムへの心理学的な理解を助けてくれる本たち

良書紹介

良書紹介の第二弾は、ASD(自閉症スペクトラム)についての科学的な知見に基づく理解を助けてくれる良書紹介をしたいと思います。

ASD関連書は数多くありますが、内容としては目で見て確認できるような自閉症の「特徴」と、その特徴に対して求められる「対応」について書かれた本が多いように思います。今回ご紹介する本は、目で見て確認できるような特徴よりも、ASD者の内側で起こっている目で見ることの出来ない「特性」とでも呼ぶべき側面について書かれた本たちです。

私が臨床心理士だからというのもありますが、ASDを正しく理解するために必須の視点だと思っています。

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①自閉症スペクトラム入門(サイモン・バロン・コーエン)

まずはサイモン・バロン・コーエン先生の「自閉症スペクトラム入門」です。コーエン先生は心理学分野の自閉症研究者としてはとても著名な心理学者で、ここを外すわけにはいかないという理由で一冊目です。

コーエン先生を一躍有名にしたのは、ASD(自閉症スペクトラム)者の「心の理論」の研究でしょう。この研究は賛否両論巻き起こし、ASD者の心理学的理解について非常に大きな影響を与えました。

こちらの本はそんなコーエン先生が書いた自閉症理解の入門書です。もちろんコーエン先生の自説についても書かれていますが、他の研究者の研究もバランスよく記載されており、非常に優れた内容となっています。

ASDについてより一歩本格的に学びたい、理解したいという方が最初に読む本としては最適ではないかと思います。

②新訂 自閉症の謎を解き明かす(ウタ・フリス)

二冊目は、ウタ・フリス先生の「自閉症の謎を解き明かす」です。

フリス先生もコーエン先生に負けないくらい自閉症研究では有名な心理学者です。こちらの本は、改訂版となっていまして、前回版をベースに一部情報がアップデートされています。最新知見が取り入れられていますので購入されるならこちらの改訂版をオススメします。

何やらちょっと怪しげな写真が散りばめられた表紙ですが、実はこの表紙が内容とリンクしていて中身を読めば意味が分かるようになっています。こちらの本もフリス先生の持論だけでなく、自閉症に関する歴史、脳科学、心理学など様々な領域のを俯瞰した自閉症理解のガイド本といった内容となっています。

また先のコーエン先生の本とあわせて読むことで、同じ心理学者でも表現のニュアンスの違いや考え方の違いなどが見えて興味深いと思います。

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③「自尊心」を大切にした高機能自閉症の理解と支援(別府哲ら)

海外の心理学者の本が続きましたので、三冊目は日本の心理学者の本をご紹介。別府哲先生らによる「「自尊心」を大切にした高機能自閉症の理解と支援」です。別府先生は心の理論研究の日本のトップランナーのお一人で、こちらの本はその別府先生らが書かれたASD理解と対応の入門書という位置づけとなります。

こちらの本は、ASDの中でも知的障害を伴わないタイプの子どもたちのことを中心に、心理学的な特性理解の話と各発達段階における対応について書かれた本です。キーワードとして「自尊心」があげられており、子どもたちの自尊心を守るための知恵が提供されています。

子どもたちのものの感じ方の周囲との違いが、子どもたちの自尊心や心の健康に与える影響に配慮しながら、あるべき支援について書かれた専門的でありながらあたたかな本となっています。

以上、今回は心理学者が書いた自閉症を理解するための本をお届けしました。

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